
今回と次回で、公務員の「身分上の義務」について考えていきます。
公務員として、職務に専念したり、法令や上司の命令に従ったりすることは、「職務上の義務」として法令(地方公務員法)に明示されています。この「職務上の義務」は3項目あります。
これに対して、勤務時間の内外を問わずに求められる義務があります。これは「身分上の義務」と呼ばれ、全部で5項目あります。
どちらも重要項目ですので、しっかりと整理しながら覚えていきましょう。
今回は「身分上の義務」2回シリーズの前半、3項目を取り上げていきます。
教員採用試験に出る教育法規 ~身分上の義務①~「信用失墜行為の禁止」とは
公務員は全体の奉仕者です。公共の利益のために勤務することが求められています。
言うならば、公務員は世の中全ての人々のために勤務するということであり、法律の定めによって勤務の姿勢が求められている、という点で一般の人々とは一線を画すといっても過言ではないでしょう。
従って公務員は、ある意味特別な存在であり、一般の人々以上に高度な倫理観を持たなくてはいけません。
地方公務員法33条 「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」
ここでいう‟行為”とは、勤務時間中は言うまでもなく、当然勤務時間外であっても含まれています。
交通違反や犯罪など、公務員、特に教職員の場合はニュースに取り上げられることが多いと感じたことはありませんか?
公務員には、それだけ高い行動規範が求められているというわけです。
教員ともなれば、人を教える立場である以上、ことさら社会からの信頼を裏切るようなことがあってはなりません。
「職の信用を傷つける行為」「職員の職全体の不名誉となる行為」に対しては厳しく罰せられることになります。
違反した場合、「信用失墜行為」は、懲戒処分が下されることになります。
懲戒処分とは、法令違反など一定の義務違反に対して、その道義的責任を追及し、職場の規律と秩序の維持を目的として課される制裁のことを言います。
これはこれで超重要項目なので、あらためて「懲戒処分」の項目でくわしく解説していきたいと思います。
教員採用試験に出る教育法規 ~身分上の義務②~「秘密を守る義務」とは
公務員に限らず、一般の企業においてもたくさんの職務があります。
その中では、当然個人情報や個人の秘密を知る機会も少なくないでしょう。
この「秘密を守る義務」は、いわゆる「守秘義務」であって、これは公務員に限ったことではないことは理解できますね。
公務員の場合は、地方公務員法にその定めがあります。
地方公務員法34条「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退い後も、また、同様とする。」
ある意味常識的な話と言えばそうなりますが、後半の部分にも注意が必要です。
それは、この「秘密を守る義務」は、在職中に限らず、退職後も継続して守らなければならない義務ということです。
教員を辞めたからと言って、在職中に知りえた秘密を他人に漏らすことは、絶対にNGです。
当然守れなかった場合は懲戒処分の対象になるばかりか、場合によっては刑罰対象になります。
個人のプライバシーや組織の重要な利益を守ることは、在職中であろうとなかろうと、一人の人間として求められる基本的な姿勢ですよね…。
教員採用試験に出る教育法規 ~身分上の義務③~「政治的行為の制限」とは
公務員である以上、特定の一部の団体に偏った行動が許されることはありませんね。
公務員は全体の奉仕者です。
これは政治の場面においても同じことが言えます。
公務員の立場というものは、政治的中立を守る立場でなければなりません。
公立学校等の教員も地方公務員であることから、当然法令の順守が求められます。
ただし教員は、一般の公務員と違い、教育に携わるという特殊性(公教育は地域を超えて日本全国で同様に行われるもの)から、地方公務員法ではなく、教育公務員特例法が適用され、当分の間(いつまでかはわかりませんが…)は、国家公務員のルールを適用する、とされています。
教育公務員特例法18条「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法36条の規定にかかわらず、国家公務員の例による。」
国家公務員法102条「職員は…人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」
教職員は、一般の公務員と比べて、「教育の特殊性」により、政治的行為に関する制約が厳しくなっているのです。
一般の地方公務員は、勤務する自治体の区域内でのみ活動が制限されるのが基本ですが、教職員は全国一律で制限がかかります。
このほか、教育者である学校の校長や教員が選挙運動をしてはならないことなどを定めた別の法令もあります。
今回は、教員の服務義務に関しての項目ですから、「身分上の義務」の中の「政治的行為の制限」という関係を覚えておきましょう。

教職員の「身分上の義務」のうち、「政治的行為の制限」は、地方公務員法ではなく、教育公務員特例法により、国家公務員法の例による、ということが重要です。
これだけは覚えておこう
今回は5項目ある「身分上の義務」の3項目について見てきました。
最終的には全部まとめて覚えておく必要がありますが、まずは前半ということで3項目を取り上げました。
身分上の義務
- 公務員としての信用を失ってはいけない「信用失墜行為の禁止」(33条)
- 職務上知り得た秘密を外部に漏らしてはいけない「秘密を守る義務」(34条)
- 政治的に中立の立場でいなければならない「政治的行為の制限」(36条)

「秘密を守る義務」は、在職中に限らず退職後も遵守しなくてはなりませんでした。

「政治的行為の制限」は、国家公務員法の例により、一般の公務員よりも厳しい制限があるのでしたね。
今回のまとめ
(1)地方公務員法33条
職員は、( )を傷つけ、又は( )の不名誉となるような行為をしてはならない。
(2)地方公務員法34条
職員は、( )を漏らしてはならない。( )も、また、同様とする。
(3)教育公務員特例法18条
公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、当分の間、地方公務員法36条の規定にかかわらず、( )の例による。
さて、「教職員の服務」の内容として、今回は「身分上の義務」について見てきました。
覚えるべき項目は全部で5項目ありますが、まずは前半として3項目を取り上げました。
次回は残りの2項目の説明と全体のまとめを行っていきます。
次回もお楽しみに。

