「教育課程と学習指導要領の違いがよく分からない」
管理職試験や教員採用試験の勉強をしていると、このような疑問を持つ方は少なくないのではないでしょうか。
どちらも学校教育に関わる重要な言葉ですが、役割は全く異なります。
この記事では、教育課程と学習指導要領の違いや関係性について、具体例を用いながら分かりやすく解説していきます。
この記事でわかること
- 学習指導要領は国が示す教育の基準を定めるもの
- 教育課程は学校が編制する具体的な教育計画
- 学校は、学習指導要領に従って教育課程を編成する
学習指導要領についてのあれこれ
そもそも学習指導要領とは?
学習指導要領とは、学校で何をどのように学ぶのかを国が示した教育課程の基準のことを言います。
時代は常に動いています。
AIがここまで発達している現代を、10年前はどこまで把握できていたのでしょうか。
逆にこの先10年、世界はどのように変わっていくのでしょう。
その10年先を見据えた場合、今の子どもたちに必要な学問とはどのようなものであるのか。
社会は絶えず変化し、科学技術もどんどん進歩していく。
学習指導要領は、これからの国づくりの設計図と言えるかもしれません。

そのような背景から、概ね10年に一度のペースで見直されています。きっちり10年ということではないようです。
法律ではないが法的拘束力がある
ややこしい部分ではありますが、整理してみると次のことが言えます。
学習指導要領は、「要領」ですから、「~法」とか、「~令」、「~規則」とは違いますね。
しかしながら、学校教育法施行規則の中で以下のように明示されています。
学校教育法施行規則 52条 小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。
(ここでは「小学校の教育課程」とありますから、学習指導要領も「小学校学習指導要領」となっていますが、中学校、高等学校にもそれぞれ「学習指導要領」があります。)
つまり、法律ではないものの、規則にはしっかりとその言葉が明示されいるわけですから、法的根拠を有していると言えます。
教育内容の上限ではなく最低基準である
この部分も誤解しないようにしないといけません。
今の学習指導要領は、「これを教えればよい」というものではなく、「ここまでは教えなさい」と解釈されるべきものとなっています。

誰もが学ぶべき事項を定めた最低基準であり、必要に応じて、各学校はこの基準以上の学習を行うことができます。
なおこの記事では、学習指導要領と教育課程の関係という観点から、学習指導要領個々の特徴については触れていません。(次期学習指導要領については、今後まとめていく予定です。)
管理職試験を受験するにあたっては、現行の指導要領と比べながら、これからの学校現場に求められる教育内容についてしっかりと理解しておくことを絶対的にお勧めします。
文部科学省:次期学習指導要領等に向けた審議まとめ
教育課程は学校ごとの具体的実施計画
教育課程のそもそも論として…
さて、教育課程に関しては、少し回りくどいかもしれませんが、法的根拠として以下の法令をまずはチェックです(中学校等にも準用規定があります)。
学校教育法 33条 小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める。
「小学校の教育課程に関する事項」と前置きされていますが、法的には、教育課程に関する事項を定めるのは文部科学大臣であることは覚えておきましょう。
全国的な視点での教育の機会均等と教育水準の維持向上という観点に立つと、文部科学大臣が定めるということには納得がいきますね。
教育課程は学校の鏡?
実際には学校教育法施行規則に従いながら教育課程は編制されていきます。
さらに学校教育法施行規則には、学習指導要領によることが明示されています。
そして、学習指導要領に従い各学校が編制するその学校オリジナルの教育活動全体の計画、それが教育課程と言うわけですね。
したがって、教育課程を見るとその学校がどこに力を入れているのかがわかります。
例えば、英語教育に力を入れているとか、地域の学習を充実させているのかといった、学校が設定したカリキュラムからその学校の様子がうかがえるのですね。
各学校は、地域の特色や児童生徒の実態、学校の教育目標などを踏まえて、独自の教育課程が編制できるのです。
教育基本法や学校教育法が定める目標に照らして、各学校は各学校の教育目標を定めます。
そして、その教育目標を達成するために必要な学習内容を、学習指導要領に基づいて組み立てていきます。

その際に、各教科や領域ごとに指導目標を設定し、学校教育法施行規則に定められた授業時数を標準として授業実数を決定していくのですね。
教育課程編制の責任者は校長
教育課程の編成は各学校が行っていきますが、学校の責任者は言うまでもなく校長です。
したがって、教育課程編制の責任者は校長ということになります。
教育課程は、学校の教育目標を達成するために、校長先生の指導の下全教職員が参画することによって編成されていきます。
各学校において、教育課程委員会とか、カリキュラム編成委員会とか、名称はそれぞれだと思いますが、定期的に開催されていますね。
社会情勢やら生徒の実態、また、大学受験を念頭に置いている場合は大学受験の動向…このような変化に対応すべく、毎年見直しが必要というわけですね。
それらを踏まえ、校長先生が最終責任者として、毎年教育委員会に提出していきます。
教育委員会と教育課程の関係とは
教育課程の作成とその後
教育課程が確定したら、校長は学校の管理執行機関である教育委員会に提出します。
教育委員会は、教育行政の管理執行機関として、教育課程の管理、執行、基準設定の権限を有しています。
したがって、提出された教育課程について不備等があれば指導・助言を行います。
校長は、法令等のほか、上司からの職務上の命令には従う義務を負っていることから、教育委員会からの指導には従わなくてはなりません。
教育課程と教育委員会との関係
各学校における教育課程編制の責任者は校長ですね。
これはあくまでも編成上の責任であって、その教育課程をそのまま執行させてよいというものではありません。
公立学校の設置者である自治体は、教育委員会に学校の管理・執行を任せています。
どの学校がどのような教育活動を行うのか、については学校を管理する教育委員会が掌握しておく必要があるのですね。
したがって教育委員会は、管下の学校に対して、提出された教育課程が法令等に違反していないかをチェックし、必要に応じて変更を求める責任と権限を有しているのですね。
つまり、教育課程においてはまとめると…
| 学校(校長) | 編制の権限と責任を有する |
| 教育委員会 | 教育課程の管理、執行、指導助言の権限を有する |
と言うことになります。
なお、教育委員会が行う指導助言については、学校管理規則に基づいていますので、こちらも併せて確認しておきましょう
関連リンク:
教育課程と学習指導要領、大切なことのまとめ
今回の記事では、教育課程と学習指導要領というキーワードから概略をまとめてみました。
ざっくり法的根拠とともにまとめると以下のようになります。
学校教育法 文部科学大臣が定める「教育課程に関する事項」
↓
学校教育法施行規則 教育課程については学習指導要領による
↓
学習指導要領 およそ10年で改訂
↓
学校管理規則=教育委員会による管理・執行・指導助言
↓
各学校(校長)=作成
最後に、整理の意味を込めて、予想問題(?)です。
- 「教育課程に関する事項」は、誰が定めていますか?
- 「教育課程の基準」として公示されるものを何と言いますか?
- 教育課程の編制権限はどこにありますか?
- 教育課程の管理・執行・指導助言の権限はどこにありますか?
今回は、教育課程と学習指導要領の関係性に着目して整理しました。
「誰が」とか、「両者の違い」などが管理職試験では問われることが多いようです。
また、次期学習指導要領についてはこの記事では触れていませんが、必ずチェックしておきましょう。出題の頻度は高いと思われます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続き、ご意見ご感想をお待ちしております。

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