教員採用試験の受験者数が減少傾向にあるようですね。
子どもたちに夢を与える仕事として、将来のつきたい職業ランキングではよく見かけてはいたものの、実際には歴史的な低水準へ移行しているようです。
勤務時間の長いいわゆるブラックとしての認知度が世間一般で高まっているのも一因かもしれません。
今回は、教員(公立学校)の勤務時間について見ていきます。
この記事でわかること
- 公立学校の教職員の勤務時間は、教職員の属する地方公共団体の条例で定められている
- 実際の勤務時間は、各学校の実情に合わせて割り振られている
- 勤務時間の割り振りは教育委員会の権限であるが、教育委員会は校長に委任している
公立学校の先生の勤務時間は、条例で定められている

働き方改革の一つとして、教員の勤務時間について語られることも多いです。
しかし実際に現場で勤務している先生方は、勤務時間についてどの程度まで理解しているのでしょうか。
私の場合、特に若いころは、勤務時間なんて気にしたこともなかったし、土日の感覚すらなかったですね。
部活動の指導に力が入れば、早朝から練習したり、公式戦に向けては土日に遠征やら強化練習会やら、いろいろありました。
ただ、不思議と、「やらされている感」はあまり感じていませんでしたね。これが教員の仕事だ、という割り切りもありましたし、そこにやりがいもありました。
しかし、今の時代、これがブラックだ、と言われれば否定はできませんね。
一昔前、教員は早朝から夜遅くまで、そして土日も働いている…そんな印象が確かににありました。
そもそも勤務時間とは、労働者が働くべき時間のことを言います。
その一方で、教職員は学校と言う特殊な環境での勤務になります。
保護者対応ともなれば、保護者の勤務が終わってからなんていうこともあるでしょう。
これでは、勤務時間はあっても、ないようなものとして理解されても仕方ない部分もありますね。
教職員の働き方改革の一つとして、文科省は、「時間外在校等時間」として、勤務時間以外での勤務時間について、上限管理(原則として、月45時間以内、年360時間以内)を行うよう求めるようになりました。
現場では、教頭先生によって勤務時間の管理が細かく行われるようになっているのではないでしょうか。
一昔前に比べると、勤務時間の内と外については少しずつ意識改革が進んでいるようです。

学校現場は、ある意味特殊な勤務実態ではありますが、労働者として、まずは法令が定める勤務時間については精通しておく必要がありますね。
そもそも労働者の勤務時間は、労働基準法で週当たりの勤務時間の上限が定められています。
労働基準法 32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
これが労働者の勤務時間の大前提となるわけですが、公立学校の教職員は地方公務員であるため、地方公務員としての勤務時間が定められています。
地方公務員法 24条 5 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。

労働基準法で労働者の勤務時間が、地方公務員法で地方公務員の勤務時間が定められいるわけですね。
で、その地方公務員法では、条例で定めるといっているわけですから、最終的に勤務時間は条例を見ていくことになります。
で、ここは少しややこしいのですが、例えば県立高校の教職員は「県」の公務員ですが、市町村立学校の教職員はその市町村の公務員になります。
ここは大きなポイントとなるわけですが、この市町村立学校に勤務する教職員には、市町村の財政力等で勤務条件に差が生じないよう、都道府県が給与を負担する(指定都市の給与負担は当該指定都市)ことになっているのです。
これは「県費負担教職員」と呼ばれ、勤務時間についてもまた別の法令が用意されています。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律 42条 県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第24条第5項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。
いくつかの根拠法令を挙げましたが、結果的には”都道府県の条例”に行きつくのですね。
さらに、勤務時間に関する都道府県の条例は、国家公務員の勤務時間を準拠しているため、さらにさかのぼっていくと国家公務員の勤務条件に行きつきます。
一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 5条 職員の勤務時間は、休憩時間を除き、1週間当たり38時間45分とする。
同法 6条 日曜日及び土曜日は、週休日とする。
ようやくたどり着きました。
これを準拠することになっているので、我々公立学校の教職員の勤務時間は1週間当たり38時間45分となります。
月曜日から金曜日までが勤務日となり、土曜日・日曜日はお休みと言う根拠もここにありました。
先生の勤務時間、「勤務時間の割り振り」とは?
学校には様々な特殊事情があります。
地理的な問題や地域での実情など、すべての学校が一律に全く同じと言うわけにはいきません。
年間での学校スケジュールも学校により様々な工夫が必要になってきます。
そのような背景から、先生方の勤務時間についても各学校で異なっているわけですね。
そしてその勤務時間は、一定のルールの下で設定されます。
すなわち、
- 勤務日の特定
- 勤務日における勤務時間の決定
- 勤務日における勤務終始時刻の決定
- 勤務日における休憩時間の配置
です。
まず、勤務日の特定ですが、これは先ほどの”一般職の法律”にもあったように、月曜日から金曜日です。
勤務時間数は、5日間で38時間45分と定められていますから、1日に換算すると7時間45分となり、これが毎日(月~金)の勤務時間となります。
そして勤務の始業時刻と終業時刻、昼休みの45分の休憩時間を定めていきます。
これが勤務の割り振りの内容となります。
これはかなり頻度の高い問題ですので、しっかりと整理しておく必要があります。
各学校における具体的な勤務時間を決めるのは校長
勤務時間の割り振りを行うにあたっては、本来は、服務監督権者である教育委員会が行うことになっていますが、所属職員を監督する立場にある校長にその権限が委ねられています。
これは、学校の実態に即した割振りが行われるためとされています。
学校ごとに始業時刻が違ったり、休憩時間がずれていたりするのは、人事異動等で違う学校に配属されて初めて意識する問題かもしれませんね。
年度初めの職員会議では、この割り振られた勤務時間が教頭先生から提示されているのではないでしょうか。
校長は、管理する学校の実情を踏まえて、この割り振りを行っていきます。
また、法令で定める勤務時間については熟知し、そのうえで教職員一人一人の働き方について検討していく必要があります。
教職員も、教員の勤務時間はあってないようなもの、として意識するのではなく、まずは勤務時間内の業務がどのようなものであるか、時間外の業務の意識をどう捉えるのか、慎重に考えていく必要があります。
働き方改革への理解は、まずは勤務時間の理解が必要ですね。
そして時間外の業務については、残業代はどうなっているのか?等にも関わってくる重要な問題です。
これについては別の記事でまとめようと思います。
今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。
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