学校では、児童生徒に対して授業を行うことばかりが先生の仕事ではありません。
もちろん、授業の準備はしないわけにはいきませんが、それ以外にどのような職務があるのでしょうか。
この記事では、学校運営における必要な仕事、いわゆる「校務」について考えていきます。
この記事でわかること
- 校務とは学校における教育すべてにかかわる必要な業務のことを言う。
- だれにどの業務を分担させるかを「校務分掌」と言う。
- 校長が発する職務命令として、すべての教職員が校務を分担する。
法令により定義されている″校務分掌”の整備
校務分掌とは、学校教育法の施行規則に定めがあります。
校内における、ある意味具体的な内容であるため、法律ではなく施行規則なのですね。
法令を確実に施行していくために必要な細則のことを施行規則と言うのでした。
学校教育法施行規則43条 小学校においては、調和のとれた学校運営が行われるためにふさわしい校務分掌の仕組みを整えるものとする。
施行規則43条は、「小学校においては」と前置きがありますが、同施行規則内にある中学校や高校等それぞれの章に「準用する」ことが記載されていますので、すべての学校において、校務分掌の仕組みを整えることが定められています。
この、「校務分掌の仕組みを整える」ことについては、【文部事務次官通達(学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(主任制度関係) 昭和51年1月13日 文初地136)】により以下のようにすることが求められています。
学校において全教職員の校務を分担する組織を有機的に編制し、その組織が有効に作用するよう整備することであること。
余談ですが、「編成」ではなく「編制」です。こういった単語一つ一つの理解は確実にしておきたいところです。
校務分掌 学校における組織の編制
そもそも校務とは、学校教育を実践していくにあたり必要な学校の業務すべてのことを言うのでした。
校長は、教職員一人ひとりの能力や適性を最大限考慮し、学校運営上必要な業務を分担させます。
そして、校長がその分担を監督する責任を負うのです。
これは、校長の職務として規定されていますね。
学校教育法37条4項 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
この、「つかさどる」や「監督する」については重要なキーワードです。別項で詳しく解説しているのでそちらを参考にしてください。
👉教員採用試験(学校管理職試験)合格に向けた教育法規のポイント 学校の管理職、その種類とは
👉教員採用試験(学校管理職試験)合格に向けた教育法規のポイント 教職員の「服務」とは~1~

教育法規の学習ポイントは、横の連鎖が大切。一つの法令に含まれるキーワードを別の法令のキーワードへとつなげていくことが肝心だね。
校務分掌の中身は?法的根拠は?
校務分掌については、実はそれぞれの学校種において、それぞれ学校の実情に応じて編制されています。
すべての学校で同一というわけではないのですが、学校運営上中核をなすものについては、施行規則に設置する旨と職務内容が明確に規定されています。
学校教育法施行規則44条 小学校には、教務主任及び学年主任を置くものとする。
ここでは、「置くものとする」と書かれていますが、中には「置くことができる」や「置かないことができる」というような但し書きが含まれているものもあります。
学校教育法施行規則47条 小学校においては、前四条に規定する教務主任、学年主任、保健主事、研修主事及び事務主任のほか、必要に応じ、校務を分担する主任等を置くことができる。
また、ここには「…のほか、必要に応じ、校務を分担する主任等を置くことができる」とあるように、校長は、学校の実情に合わせて校務を分担できることがわかります。
分担させる校務分掌の主なものとしては、教育課程や出席管理などを行う教務部や校内での生徒指導全般を受け持つ生徒指導部、児童・生徒の健康を管理する保健部、PTAや外部機関との連携等を受け持つ総務部などがあり、それぞれ学校の実情に合わせて編制されています。
設置された分掌には主任が置かれますが、これはいわゆる「充て職」と呼ばれるもので、校長により任命されます。
👉教員採用試験(学校管理職試験)合格に向けた教育法規のポイント 教員の充て職とは
ところで、この(↑)記事の中で、「学校に配置する職に関して、『置く』のか『置かない』のかの判断は、公立学校の場合は学校の実情を鑑みて管轄する教育委員会が行います。」と書きました。
少し複雑ですが、この’置くか置かないか’の問題は、あらためてまとめると以下になります(管理職試験向け)。
校務分掌決定へのプロセス
まず最初に動くのは教育委員会です。それぞれの学校に対して、以下を決定します。
- 主幹教諭を配置するか
- 指導教諭を置くか
- 加配をつけるか
- 学級数に応じた教員定数をどうするか、など
こうした 人員配置の大枠は教育委員会が決定 します。
つまり、 「そもそも置ける人がいるのか?」という前提条件は、教育委員会が作るわけです。
教育委員会から配置された教職員をもとに、 校長が校務分掌を組み立てます。
- 主幹教諭が教務主任の役割を兼ねられるか
- 学年主任を置かずに運営できる体制か
- 特別な事情(小規模校、複式学級など)があるか、など
こうした学校の実情を踏まえて、 校長が「置かないことができる」規定を使うかどうかを判断 します。

校長には「校務をつかさどる」法的権限があるため、教育委員会の管理のもと、 校務分掌の最終決定は校長の責任と裁量に委ねられているのですね。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律21条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
5項 教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。
今回のまとめ 校務分掌、職員配置の背景を紐解いた!
この記事では、以下のような問いに対する解説を行いました。
〇校務分掌とは?その仕組みとは?その目的とは?
〇校務分掌、その法的根拠は?
〇置く、置かない、その整理は?
今回の記事では、そもそも学校に配置される教員って、誰が、どのように定めているのか、という素朴な疑問にも少しだけ触れることができました。
教育委員会と学校との関係については、また別の記事でまとめていきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続き、ご意見ご感想お待ちしております。


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